ムージル『愛の完成・静かなヴェロニカの誘惑』(岩波文庫)読了。短編が2つ入っている薄い本だが読んでいて疲れた。今度は『三人の女・黒つぐみ』を買ったので読んでみるつもり。昨夜、自分が射殺される夢をみたのは、再試験へのプレッシャーだけでなく、寝る直前に読んだこの息苦しくもどかしい小説が悪い影響を及ぼしていたのに違いない。しかしこの夢は苦しかった。弾が貫通する直前で終わりじゃなくてしっかり突き刺さったからなあ。
・先週のBSマンガ夜話、4夜全て録画するつもりが、ミスって火曜・水曜しか録れていない。『自虐の詩』の回だけ観たが、オタキング(死語なのか!?)が、創作と現実のギャップのようなことを云い出して、それについて、いしかわ、呉の3人でごちゃごちゃやっていたところが気になった。岡田の言っていたのは、現実にDVというか家庭内暴力の経験を持つ人には『自虐の詩』は不評であり、それはやはり「実際はマンガに描かれてるよりもずっと悲惨」だということなのだろう、という話である。『自虐の詩』を読んで涙できる人は、それだけ実生活が幸せなのだろう、と。いしかわ、呉は、それに対して、マンガ作品としての価値は、そうしたこととは無関係に決まる、という立場に立っていたようだ。

・NHK教育みんなのうたhttp://www.nhk.or.jp/minna/
みんなのうた」もいつのまにか洗練されているのだなあ。
・「成瀬巳喜男 その、まなざし」@ラピュタ阿佐ヶ谷、2/29(日)−4/24(土)
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/naruse/

借りていた『バッファロー'66』、『銀河』(監督L・ブニュエル)、『日本春歌考』(監督大島渚)、『豚と軍艦』(監督今村昌平)、『静かなる一頁』(監督A・ソクーロフ)、『自由はパラダイス』(監督セルゲイ・ボドロフ)、の計6本を鑑賞後、返却。
・『バッファロー』。こじゃれた映画かと思っていたら面白かった。ギャロ演じる男の、落ち着かないでちょくちょくトイレに行く、というキャラが良かった。あと、出来のよくない両親に対してそれでも抱いてしまう愛情は、ブコウスキーの『くそったれ!少年時代』を思い出したのだが、昔読んだから勘違いしているかも(たしか父親から風呂場で折檻を受け、母はそれを横で見ながら「お願いだからお父さんの言うことを聞いてー」と嘆願する、そんな家庭だった)。それにしても向こうの人がやるとボウリングがどうしてこうも格好よく見えるのだろうか。
・『自由はパラダイス』。特殊学校(少年院)に入れられている少年が、学校を抜け出し、父親が入っている刑務所を目指す。父親は刑を軽減できる扶養家族証明書を必要としているからだ。少年サーシャの孤独な道行の景色、ときには電車から、ときには船から眺められる景色がきれい。父親に会いに行く映画で『少年、機関車に乗る』という作品があって、これは土を食うという変なクセを持った弟のキャラなど呑気な感じもあるが、『自由は』のほうはもう少し重い。
・『春歌考』。雪に覆われた大学受験会場から始まる。白い雪に、黒の学生服を着た集団。舞台はピラミッドのあるおそらく学習院大学。さえない男子受験生4人組。『帰ってきたヨッパライ』も4人の男子学生が登場する。普通、男子学生4人組というのは多すぎる気がする。2人とか3人くらいのほうがスッキリしていて、またそれぞれの性格も覚えやすいだろう。でも4人いると、それだけで鈍重というか、冴えなさや鬱屈に拍車がかかるような気がする。
・『豚と軍艦』。ちょっと気弱なチンピラを演じる若き長門裕之が、桑田佳祐を通り越して、びびる大木に似ているのは気のせいか。舎弟役がはまっている。

・大学の学部図書館から繰り返し返却催促が来る。留守電に入っていたので直接会話は交わしていないが、うるさい。もちろん非はこちらにあるのだが、試験期間中にどうやって構内に入ればいいんだよと思ったていたら、きちんと臨時事務所が設けられていた。
大学図書館にリクエストしていた文庫本(創元推理文庫の『東欧SF傑作集』など)が無事入っているのを確認。リクエストしてから気付いたが、もう卒業しちゃうから多分借りられない。大学図書館にはいろいろリクエストした。途中の巻までしか入っていない河合隼男の対談集とか未知谷の結城信一全集とか。他の学生がどれくらいリクエストしてるのか知らないが、要望を出した分はほぼ100パーセントの確率で入れてもらえた。こういうのは積極的に使うと良いと思う。