・就職用にと山口瞳『礼儀作法入門』(新潮文庫)と伊吹和子『編集者作法』(日本エディタースクール出版部)をブックオフで。『編集者作法』といっても、決して4月から編集者になるわけではなく――というかなれなかった?――普通のリーマン生活ですが、本の内容が、敬語や話し言葉や電話・手紙の作法といったことに重点が置かれているので、一般の会社員にも共通するものがあるかと。またなによりも、著者の伊吹和子という方は谷崎潤一郎源氏物語を訳すときに原稿口述筆記を担当された方。小林信彦が『<超>読書法』の中で大推薦している『われよりほかに――谷崎潤一郎最後の十二年』(講談社)の著者でもある。
三浦雅士『メランコリーの水脈』(講談社文芸文庫)を購入し半分ほど読み進める。三島由紀夫武田泰淳井上光晴大江健三郎などを中心に、戦後日本の小説を貫くメランコリー、現実との疎隔感、実感の希薄さ、というものを検証している。発売された当初(昨年の6月頃)に店頭で見かけた記憶があるが、こんなに面白そうな本だとは思わなかった。ぼんやりとした、薄い膜がかかったような意識――ある種の無力感にも繋がるような――は、先日日記に書いた高橋源一郎の発言よりも、さらに遡れそうだ。