大塚英志『定本 物語消費論』(角川文庫)
「物語消費」=「送り手からもたらされる断片的な情報を想像力をもって接ぎ木し、更には『世界観』という枠組みの中で限定的に『物語』を紡ぎ出すという新しい消費の形式」を、多くの事例を用いて例証している。ある世代にとっては、本質的な主張よりも、個々の事例こそが興味深い。コミケやジャンプブランド(少年ジャンプ以外のフレッシュジャンプなど)といった場所にまで踏み込まなかった人であっても、ビックリマン東京ディズニーランド人面犬騒動など、幼少年期にあって、その意味を理解することなく巻き込まれていた出来事の意味を、冷静に思い返すことが出来るのだから。