1月も終ろうとしているのに今年の抱負も決めていない。今年取り組みたいことを決めていない。絞り込めていない。

哲学(論理学、心理学、倫理学を含む)/仏文法/ラテン語分布/日本語文法(古文及び現代日本語)/歴史/地理/社会学(とくにマルクスの「資本論」)/アラン「作品集」/ジード「日記」、「蜻蛉日記」、露伴、鷗外、「キリスト教綱要」、「史記」、マルセル・デュプレーの「オルガン教本」……

当然これはわたしの目標ではなく、1970年2月15日(日)に書かれた森有正の日記からの抜粋である。「作家及び思想家として生涯の最後の似に到るまで僕が学び続けるべき諸分野」、「繰り返し読むべき書物(原書で)」として列記されている事項から幾つか抜き出したものだ。他にもギリシア語で「形而上学」なども挙げられている。森有正は1911年生まれだから、これを書いたときは58、9歳。旺盛な好奇心も凄いが、それを日記に書き出すところが、生真面目であり、まるで少年のようで可愛くもある。大抵は計画倒れ、計画段階で満足と言うパターンだが私も計画を立てるのは好きだ。計画や記録を細かくメモしていくのは、J・ギャツビーそしてB・フランクリンを思い出す。しかし私の場合は、一年の計画が、月日が経過するにつれて修正されていき、しまいには残り数ヶ月に1年間の計画が詰めこまれるような惨状を呈する。宮本輝の「星々の悲しみ」の主人公がそうだった。