1月25日付「日経」。書店のPOPで火がつくヒット作品という記事。当然のように取り上げられているのは『世界の中心で〜』と『白い犬とワルツを』。本屋の手書きPOPが人気なのは、評論家や専門家による本の紹介は出版社との利害関係が絡んでいるようでいやだから、だそうだ。あくまでこの記事によると。書店員の、身近な顔が感じられる、手書きのPOPは信頼感が増すらしい。確かにそれはあるかもな。これこそ書店員の腕の見せ所だろう。レンタルビデオ屋などにも言えることだ。もちろん仕入れ段階で選択眼は働かせられているとしても、本棚のレイアウトにおいてもそれを貫徹させる、見せ方・並べ方でもアピールをする。しかし、最近の本屋のPOPは多すぎてうるさかったり、しかも手書き風の出版社作成の量産POPだったりして、疑問もある。書店員の顔が見られるPOP、紹介者が本当に読んでいることが分かるPOP。それはヒットするということと実は関係の無い話。むしろ逆方向の話ではないか。ヒットするのは結果論である。手書きのPOP、町の本屋さんで人気が出た本、という売り文句がテレビ新聞をはじとするマスメディアで流されれば、それはまた顔の見えない、読んだ事もない人の本の紹介と同じことでしかない。たとえ『世界の中心』をテレビや新聞で話題になっているからといって読んだとしても、それは、ブームを作るきっかけとなった書店で、POPを書いた店員とそれを手にした客との間に起こったこととは全く別のものなのだ。