阿部和重ABC戦争』(新潮文庫)
田舎の通学列車に勃発する、出身中学に色分けされた抗争。実際は抗争という大袈裟なものではなく、いさかいという程度のもので、しかも予兆や推測やほのめかしの段階にとどまって、勃発には至らない。しかし、これを過剰な装飾であると捉えるか、それとも実際に深刻なものと捉えるかは、なかなか難しいものであるように思う。当人たちにとってはまったく真剣なものが、傍からみれば滑稽なものにしか見えないということはままあること。高校生の権力闘争が、国家間の勢力争いに似ているのか。国家間の勢力争いが、高校生の権力争いに似ているのか。
酒井健バタイユ入門』(ちくま新書)
本屋で酒井訳の『エロティシズム』(ちくま学芸)が出ていたのをみて、読んでみた。先月読んだジュネの『葬儀』が面白かったのもあって。