ジェイムズ・ジョイスユリシーズ Ⅰ』(集英社文庫)
漂う徒労感。膨大な量の言葉が費やされながら、その大半は外に吐き出されることが無い。ただただ内側で生じては流れ去る。人の話や街の看板、景色、新聞などの情報から、こちら側の思考や想念は動き出し、変化していくが、こちらから外側に対して働きかけることは少ない。周囲に対する俗っぽい関心と冷徹な無関心。饒舌なのに受動的で孤独。現代人、ほとんどビョーキ。

カネコアツシ『R』(祥伝社)
須藤真澄『子午線を歩く人』(アスペクトコミックス)
『子午線』は全く知らない作家さんの全く知らない作品。ブックオフでタイトルを見て衝動的立ち読み。短編集で、1話目が面白かったので購入。