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◇『小原庄助さん』(監督:清水宏)
ストーリーは、破滅的なまでにお人よしな性格の主人公の姿がほろ苦く描かれていて、でも最後の最後は、何とか観る者へ希望の一線を守ってくれたか、という印象。人物や動物と、背景となる家屋や空や河川や田畑との、絶妙な組合せは他の清水作品と同じ。前景から後景まで、奥行きの生かされた構図も美しい。光のあて方(人工照明なのか自然照明なのか分からないが)も、いつもながら溜め息の出るくらいのすばらしさ。私の現在の境遇に照らし合わせると、人情とお金の対立・背反ということが気になった。これは『有がたうさん』にも共通するテーマだったはず。今年は清水宏の作品を幾つか見られたことが本当に有難い一年だった。