• 就職活動

駅についてから試験開始までしばらくあり、かつまたお腹も空いていたのに、駅前をぱっと見回して手軽なファーストフード店が見当たらなかったので、上智大学の学食に潜入し、ハンバーグ丼350円を頂く。おいしかったです。会計時に学生証提示を求められたらどうしようと少しびびりましたが無事食事を取ることが出来た。
就活の内容はグループディスカッション。私も含めて4人で90分弱話し合った。3人は十分に優秀な人のように思われ、いまだに就活しているのが不思議でならなかった。私のような神経症に片足を突っ込んでいるような様子もなかったし。そのうちの1人、22歳大学4年生のF君が物書き志望で、好きな作家はプルースト、大学の専攻は国際政治にも関わらず個人的な専門分野はアイルランド文学(有名どころだとジョイスベケット、イェイツなどとのこと)といっていて、帰りに新宿紀伊国屋書店まで一緒に行ってきた。私は紀伊国屋でパソコンの本を見てみようかというつもりで、それも大して強い動機ではなく、ただ何となく行くつもりだったのだが、F君も時間があるようで、私と一緒にふらふらと店の中へ。講談社文芸文庫の棚の前でしばし歓談(こうした行い、つまり本屋の棚の前でアアダコウダと薀蓄を垂れ流す行為は、端から見ていて不愉快なものであるということを、自分の体験としても知っているので、本来なら止しておくべきなのだが、就職活動のなかで偶然めぐり合った同士に嬉しくなり、つい話し込んでしまった)。大江健三郎はあんまり面白かった記憶がないというので、『叫び声』を勧めると買ってみるということなので、私のほうはF君の勧めてくれた永井龍男『一個・秋 その他』を買うことに。レシートを買った文庫本の中に挟みこみ、新宿駅へ。一緒に珈琲くらい飲みたかったな、誘ってみればよかったかなと思ったのは、既に別れたあとのことだった。