ユリシーズ Ⅰ』(集英社文庫)
生協書店に平積みされているのを見て衝動買い。ハードカバーは手にとってみることさえしたことがなかったので、まっさらな状態の気分でページをめくる。第一印象は、訳注が長ーい。
それにしても集英社文庫というのはなかなかミステリアスな文庫である。以前はラテン・アメリカ文学シリーズとして、マルケスボルヘスコルタサルなどが入っていたし、ほかにもM・クンデラや『神曲』、『ダロウェイ夫人』など、文庫に入っているとありがたい作品がそろっている。集英社からハードカバーで出ているものを、普通に文庫に落としてきているだけのことといえばそうなのだろうが。でも基本路線は中高生向けの小説やエッセイだというのが謎だ。
最近、文庫が充実してきているのは何故なのだろうか。単なる気のせいなのだろうか。最初の動きは、ちくま文庫ちくま学芸文庫(の復興)だろうか。それから河出文庫。とにかく有難いことである。こうなってくると、講談社文芸文庫の値段の高さが気になってくる。