高橋源一郎『虹の彼方に』(新潮文庫)
はじめはとんでもなくハチャメチャな人物や出来事の連続なのに、終わりに近づくにつれて彼らの誠実さややるせない気持ちが強く感じられてくるのは何故だろう。
――これでは『ジョン・レノン対火星人』の感想をコピーしただけになってしまうので少し付け加える。無根拠な思いつきで書くけれど、この人の小説には子供のような感性がある、或いは読んでいる者を子供に戻してくれるような力があるように思う。またこのドタバタ性は、子供というよりも、中学生くらいの馬鹿っぽさのようにも思う。『ペンギン村』を読んだときには、テレビアニメの世界で枠が作られていたので、子供のを連想させるのかと思ったが、どうもそういうことではない気がする。親が子へ語っているように作られているからだろうか。彼の書評の巧さも、ここら辺と関係があるのではとこれも適当に思い付いた。
○M・プルースト失われた時を求めて ②』(ちくま文庫)

丸尾末広『ギチギチくん』(秋田書店
町田ひらく『green-out』(一水社)
武富智『A SCENE』(集英社)