部屋の掃除をしていて積読だったバルザック『金融小説名篇集』(藤原書店)を見つけ、コタツのテーブルに移しておく(いつでも読めるように)。積読といえば、私の場合、読んでいない本を本棚に並べ、反対に読み終わった本は、よほどの思い入れがない限りダンボールに入れて、箱が満杯になると物置に運ぶようにしている。確か川上弘美も読み終わった本はダンボールに突っ込んでいくというようなことを何処かで書いていた。『金融小説』は本棚に並べていなかったので目につかずそのまま忘却の彼方へ。帯にはまたしても高橋源一郎が!「退屈な読書」の「ナニワ金融道」評からの引用らしい。

「金=貨幣の圧倒的重要さに目をつぶった物語にリアリティなんかあるわけないじゃんというのがマルクス的観点で、『ナニワ金融道』の面白さはそこにあった。そして、バルザックもまた。」

「経済学者の仕事が終わった時に、実は本当の人間の問題が始まる」というのはケインズの有名な言葉らしいですが(『経済って〜会議』で知った)、先日読んでいた民法の本(内田貴民法Ⅰ(第2版)』(東京大学出版会)。いまは補訂版が出ている。しかし法学部6年生で民法総則を読んでいる私もヒドイ。)では「これは改正案の限界ではなく、民法の限界であり、高齢者や知的障害者の福祉政策に関して、民法に過大な幻想を持つべきではない。逆にいえば、民法の外で、このような福祉に対する国家の責任が果たされなければならないのである。」なんて言葉が出てきて、金とか法律とか金にまつわる法律とか、面白そうだし、なかなか真摯だなと思い始めている。