ナンシー関・町山広美『堤防決壊』(文春文庫)読了

ナンシー関の特異性を少しだけ感じた。町山広美はどこかにインテリ臭が残っているというか。優等生的なのだ。巻末に入っている連載の裏話を語った対談でもそう感じる。即興性を重んじ、対談の原稿にはあまり朱入れをしないナンシー関。それに対してしっかりと朱入れをする町山広美。テーマが映画のときも、年間数本しか観ないというナンシーのほうが、幼少の頃から多くの映画を観て来た町山よりも、言葉が鋭い。自分の眼で見て、自分の頭で考え、自分の言葉で語る、借り物の知識や枠組みに乗っかってしまわない(或いは乗ることが出来ない?)、それがナンシー関なのではないか。