木下恵介監督『女の園』。

戦後間もない京都。名門全寮制女子大学の中に起きる、伝統と管理に縛られた学校に対する生徒の反発と、生徒間の衝突。

当然学生運動をモデルに作られたのかと思っていたが、54年に作られていたのだとは驚き。
http://members.aol.com/sonki1954/kinositafilmo49.htm
世代間の対立、親子間の対立、男女間の違和、理想と現実の断絶。錯綜する対立軸の中で引き裂かれる一人の女学生。話も重いが、映像も重い。光の少ない和風木造家屋の寮。屋外の場面も、爽やかなはずの空が、町や建物を押しつぶすかのような圧迫感を感じさせる。
同じ監督の『カルメン故郷に帰る』もやっぱり女の限定された人生や親子の対立が描かれていたように思うけれど、あくまでも、からっとした開放的な空気が基調になっていた。個人的には『カルメン故郷に帰る』の方が好きだ。